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広島地方裁判所 昭和47年(わ)450号 判決

本店所在地

広島市宇品東七丁目七番三号

法人の名称

広島信仰レザー株式会社

代表者の氏名

代表取締役 神前信也

本籍

大阪市天王寺区上本町七丁目三番地の八

住居

広島市宇品東七丁目七番三号

会社役員

神前信也

昭和九年一〇月三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官中尾巧出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人広島信仰レザー株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人神前信也を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人神前信也に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人広島信仰レザー株式会社は、広島市宇品東七丁目七番三号に本店を置き、ビニール、レザー、織物の販売業等の事業を営むもの、被告人神前信也は同会社の取締役あるいは代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和四三年六月一日から同四四年五月三一日までの事業年度において、所得金額が三二、〇七八、三四四円で、これに対する法人税額が一〇、九三八、八〇〇円であるのにかかわらず、商品の仕入および売上の一部を除外し、これによって得た資金を架空名義の預金口座に預入して簿外にする等の行為により所得を秘匿したうえ、同四四年七月三一日同市宇品東六丁目一番七二号所在広島南税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四、九五一、六六二円でこれに対する法人税額は四、九四三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税五、九九五、四〇〇円を免れ

第二、昭和四四年六月一日から同四五年五月三一日までの事業年度において、所得金額が三八、七三五、七四九円で、これに対する法人税額が一三、九七二、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、所得を秘匿したうえ、同四五年七月三一日前記税務署において、同署長に対し、所得金額が一四、八一八、三九八円でこれに対する法人税額は五、一八三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税八、七八九、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示の事実全部につき、

一、第一、第三回各公判調書中の被告人神前信也(以下被告人と略称)の供述部分

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一八通

一、被告人の検察官に対する供述調書三通

一、被告人作成の上申書四通(昭和四七年四月七日付、同年三月一六日付、同月二八日付、同月三〇日付)

一、被告人作成の確認書五通

一、吉岡伊真太(四通)、平野圭吾(昭和四六年一一月一日付二通)、吉田武豊、大塚尊民(同年一〇月三〇日付)、岩崎敬一(昭和四七年一月一八日付)、岡田幹三、竹村荘吾(二通)田中元次郎、藤井巌(二通)、卜部典明、山岡義三郎、熊野信義(昭和四七年一月一四日付)各作成の証明書

一、福田秀樹(昭和四六年一一月一二日付)、松尾博己、平野圭吾、今村博外一名、柴崎一美、吉田成夫、富永征也、小椿孝、河重寛雄各作成の上申書

一、大蔵事務官作成の現金有価証券等現在高検査てん末書七通

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書二通

一、安井不動産商事作成の受取証明書

一、浜本八右ヱ門、門田洋子各作成の回答書

一、今井泰弘、高畑義雄、網本勇、網本チエノの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、今井泰弘、高畑義雄、網本勇、川添猶道、今村博、福田秀樹、松尾博己、神前千恵子の検察官に対する各供述調書

一、被告会社の登記簿謄本

一、押収してある郵便物配達証明書二枚(昭和四八年押第一一号の三の一、二)、書留郵便物受領証一枚(同号の三の三)、「売掛債権の放棄について」と題する書面五枚(同号の三の四ないし八)、債権放棄に対する否認通知書一通(同号の四)土地売買契約証書一通(同号の五)、信仰レザー土地売買の件と題する書面一通(同号の六)、土地売買契約証書一通(同号の七)、法人税決定決議書綴一冊(同号の八)

判示第一の事実につき

一、米田璞、大塚尊民(昭和四六年一〇月二九日付、昭和四七年二月一七日付)、渋井英夫、平野圭吾(昭和四六年一一月二六日付、昭和四七年四月一〇日付)熊野信義(昭和四六年一二月一七日付)各作成の証明書

一、谷口一之助、今井泰弘、藤田若司各作成の上申書

一、押収してある総勘定元帳一冊(前同号の一)

判示第二の事実につき、

一、被告人作成の上申書二通(昭和四七年三月一四日付、同月一五日付)

一、大塚義一、重光康雄、今井久彦、岩崎敬一(昭和四七年一月一九日付)各作成の証明書

一、田村伝、福田秀樹(昭和四七年三月一四日付)、松本信彦、緑川竹臓各作成の上申書

一、大力要作成の答申書

一、金田節三の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一、押収してある総勘定元帳一冊(前同号の二)、仕入帳一冊(同号の八)

(法令の適用)

被告人神前信也の判示各所為は法人税法一五九条一項にそれぞれ該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、諸般の情状を考慮し、同法二五条一項を適用し、同被告人に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、被告人神前信也が被告人広島信仰レザー株式会社の業務に関し判示第一、第二の各行為をしたので、同会社に対しては法人税法一六四条一項に従い同法一五九条一項所定の罰金刑をそれぞれ科すべく、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各所定罰金の合算額の範囲内で同会社を罰金三〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 久安弘一)

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